NTTグループは、民営化されてほぼ40年たったいまでも、「日本電信電話株式会社等に関する法律」(NTT法)によって事業に様々な制約が課されています。2023年には、自民党のプロジェクトチームが、2025年の通常国会を目途にNTT法の廃止を提言するなど、その在り方が問われてきました。
政府はことしの3月14日、「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、今国会に提出しました。
閣議決定された改正法案の概要は以下のとおりです。
●ユニバーサルサービスの確保
他事業者の提供地域を含め、NTTの電話を全国あまねく提供する責務を見直し、電話・ブロードバンドともに、複数事業者が連携して全国をカバーする「最終保障提供責務」(誰も提供していない地域でのみ、提供する責務)を設ける。
●NTT東西の業務範囲規律見直し
NTT東西の県域業務規制(本来業務を県内通信を扱う業務に限定する規制)の撤廃など、業務範囲の規制の緩和。
●通信インフラの維持・確保
NTT東西の線路敷設基盤(電柱・管路等)の譲渡等を認可対象とする。
インフラシェアリング事業者(基地局用の鉄塔等を携帯電話事業者に貸し出す事業を行なう者)について、適正・公平な利用等を担保したうえで、公益事業特権(土地等の使用に係る権利)を付与する。
●電気通信番号制度の見直し
番号使用計画認定の欠格事由に特殊詐欺犯(詐欺罪等)を追加する。
なお、NTT法の廃止そのものは、3年後を目途に検討することとされ、先送りされました。
改正法案について、KDDIなど3社は共同で、将来にわたり、NTTの特別な資産の維持・保護、電気通信事業にかかるユニバーサルサービスの確保、公正な競争の促進および安全保障などの確保が極めて重要であり、時代に即した見直しをしつつNTT法を維持することが必要不可欠との見解を示しています。
今後も、すんなり廃止とはいかないことが見込まれます。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック