最近ありがたいことに医療法人の理事長や奥様、勤務医の先生方からホームページ経由でのご相談が増えてきました。ご相談内容として圧倒的に多いのがM&Aでの妥当な対価とスキームについてです。
そこで今回はM&Aにおける対価の簡易的な計算方法をご説明させていただきます。
クリニックのM&Aの譲渡金額は「時価純資産価額+のれん代」を基に決めることが多いと考えられます。
この、時価純資産価額とのれん代を知るためには、法人の直近の決算書が必要になります。
時価純資産価額は貸借対照表、のれん代は損益計算書から算定することとなります。
つまり、時価純資産価額は、貸借対照表を基に、主に資産の実在性と負債の網羅性を検証し、資産負債の帳簿価額を時価換算することにより割り出すことが出来ます。
また、のれん代は、直近の損益計算書の税引後損益から非経常的な損益を除外し、売り手固有の損益を平準的な損益に引き直した後の修正後損益を基に割り出すこととなります(1~2年分が目安となることが多い)。
貸借対照表で論点になりやすい項目は主に下記のとおりです。
※不動産はMS法人や理事長個人が賃貸している場合は、不動産も譲渡の対象とするのか、不動産は売り手に残して賃貸を継続するのか検討が必要
損益計算書で論点になりやすい項目は主に下記のとおりです。
※役員報酬をいくらと仮定するのかはいくつか考え方があります。
①3,600万円:特定や認定医療法人の上限、多くの都道府県における理事長給与の上限額、医療経済実態調査における院長給与の平均
②1,400万円:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を何年分か私が調べた全体の医師の平均給与です。
③現在の買い手(勤務医)の収入:承継した場合の買い手の機会損失
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