【Q1】持分あり医療法人と持分なし医療法人で譲渡金額に差が生じることはありますか?
【A1】M&Aの際に持分ありと持分なしで基本的に譲渡額が変わることはありません。
いずれも「時価純資産額+のれん代(修正後純利益の数年分)」を基準とし、これは持分の有無で変動することはないからです。
ただし、現行法上持分あり医療法人を設立するすることが出来ないという希少性から買い手が持分あり医療法人を希望するケースはあります。
逆に、相続税の課税を回避したいという理由から、持分なし医療法人を希望する買い手もいます。
【Q2】持分ありと持分なしとで医療法人のM&Aにおいてどのような違いがありますか?
【A2】持分ありの方が、M&Aにおけるスキーム選択において複数のスキームを選択することが出来ます。
持分ありであれば出資金譲渡と役員退職金での清算のいずれかもしくは両方選択出来るのに対し、持分なしは役員退職金の方法しか選択出来ません。
【Q3】医療法人のバリュエーション(譲渡対価の設定)や財務デューデリジェンスで気を付けるべきことは何でしょうか?
【A3】医療法人のM&Aにおけるバリュエーション(譲渡対価の算定)や財務デューデリジェンスにおける留意点は下記のとおりです。
<譲渡対価の目安となる金額として多くのケースで用いられる計算方法>
時価純資産(貸借対照表を時価評価)+のれん代(損益計算書の修正後純利益の数年分)
<B/Sの留意点>
- 医業未収金:保険診療の未収金はレセプトや通知書で突合が可能、窓口未収金はきちんと管理されていないと未計上になっていることが多い(例:在宅中心のクリニックの場合は患者さんがお亡くなりになっていて未回収の未収金が多くあります。)
- 減価償却資産:過去に償却をしていなかった期間があると簿価があるべき残高と乖離している、フェラーリやランボルギーニなどの超高級車はリセールバリューが簿価より上がっている可能性がある
- 土地・建物:建物だけ所有し土地は借地の場合は借地権の計上も必要、土地や建物は簿価ではなく鑑定で時価評価した方がよい
- 保険積立金・長期前払費用:生命保険契約については必ず保険会社に解約返戻金を確認して保険積立金や長期前払費用を時価評価する、従業員が被保険者となっている福利厚生目的の養老保険はすでに退職している従業員やあとから入職した従業員の契約管理が適切になされていない場合がある(例:何年も前に退職した従業員がいまだに被保険者として保険料を支払い続けている)
- 退職給付引当金:従業員の退職金見込額を負債計上(中退共などによる外部積立金を控除)、M&Aに伴って退職する予定の従業員の有給休暇の負債の取扱い、未払残業代を負債計上
- その他簿外債務、評価が高すぎる資産の有無の確認
<P/Lの留意点>
- 役員給与、交際費、減価償却費、保険料を通常の金額に引き直す(売り手の個別的事情による金額を除外)
(例:役員報酬を標準的な金額に引き直す、節税目的の保険料を除外)
- 非経常的な損益の除外(例:一時的な補助金など):毎年発生する補助金もあるので注意が必要
【Q4】M&Aの譲渡対価を2億円で売り手と合意した場合、買い手は2億円を準備しなければいけないのでしょうか?
【A4】M&Aでは、譲渡対価の金額がそのまま買い手が準備しないといけない資金ではありません。
なぜなら、譲渡する法人内にある資金も譲渡金額の原資となり得るからです。
例えば、純資産1億円、のれん代1億円、合計2億円が譲渡金額として合意された場合において、この純資産1億円のうち8,000万円が現預金や医業未収入金(残り2,000万円は事業用固定資産)の場合、8,000万円を売り手に退職金として支払い、残り1億2,000万円を譲渡法人で借入をするか買い手が用意して譲渡金額に充当することになります。
現預金や医業未収入金のほかに、役員車両や役員社宅、生命保険の解約返戻金も退職金原資になり得ます。
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