医療法人の承継対策の重要性を再度確認していきます。
持分あり医療法人の親族内承継を円滑に導くための書籍を出版致します。
昨今、医療機関の休廃業は年間700件を超えており、毎年過去最多を更新する勢いとなっています。その休廃業の原因のほとんどは経営者(院長)の高齢化に伴う後継者不足となっています。
医療機関が休廃業することにより、①患者の診察の場や②従業員の雇用の場を失うことになり社会的不利益が生じることはもちろんのこと、③事業主にとっても賃貸不動産の現状復帰費用や備品等の廃棄費用が生じることにより不利益が生じます。
あらゆる事業体は必ず将来的に❶親族内承継❷法人内の第三者による承継❸法人外の第三者によるM&Aでの承継❹廃業のいずれかの選択を迫られることとなります。すべての関係者の不利益を排除するために承継対策は喫緊の課題であるといえます。
医療法人の経営者(理事長)は原則医師または歯科医師である必要があります(医療法46条の6①)。
現理事長の親族(子や甥姪など)に医師または歯科医師がいれば後継者として承継可能ですが、親族に医師または歯科医師がいない場合や、医師または歯科医師がいる場合でも大学病院等で勤務医や研究者としてのキャリア形成を行う進路を選んでいるケースでは、親族外から後継者となる医師または歯科医師を探さなければ、将来廃業の道を辿ることとなります。
特に、理事長の子が医学部に進学したものの、「将来承継するかどうかわからない」「将来の承継について話し合いの場を持ったことがない」「これからますます経営環境が厳しくなっていく中で自分と同じ苦労を負わせたくない」というケースが非常に多いと考えられます。
下記のような医療法人の場合、認定医療法人制度の活用を検討する必要があると考えられます。
上記のような医療法人が認定医療法人制度を活用することにより、承継時の出資持分に対する相続税・贈与税を非課税にすることができ、承継により後継者が納税分持ち出しになったり、後継者が経営改善を行うほど将来払わないといけない相続税が増加するという矛盾を回避することが出来ます。上記の例でいうと法人の出資持分の評価が仮に3億円、半分相続税が課税されると仮定すると1.5億の課税が生じますが、認定医療法人制度を活用することによりその1.5億の課税を回避することが可能です。よく「役員退職金を支払えば純資産0円にすることが出来るので、それで対策になる」と言われますが、退職金にも所得税(死亡時の残額には相続税)が課税されます。
また、認定医療法人制度を活用して持分なし医療法人へ移行することにより、社員出資者が出資持分の払戻請求をすることによる法人の資金繰りの悪化や出資者間の争いを非課税で未然に回避することが出来ます。
認定医療法人制度以外でも非課税で出資持分対策をすることは可能ですが、認定医療法人制度以外の非課税対策の方法は役員や社員の親族割合が3分の1以下である必要があるため、同族経営が多い医療法人では利用しづらい部分があります。認定医療法人制度は親族割合が100%でも(他の要件を満たすことにより)非課税で承継対策をすることが可能であるため、親族内承継において認定医療法人制度が使われているといえます。
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