医療法人成りと措置法概算経費

はじめに

この度の所得税の確定申告を受けて法人成りを検討される個人診療所もいらっしゃるかと思われます。

医療法人成りの場合は、法人成り最初の年度(個人診療所の最後の年分)が最も納税額が削減されるタイミングとなりえます。

なぜなら、個人診療所で措置法26条、医療法人で措置法67条を適用しそれぞれで概算経費を使うことが可能になる可能性があるためです。両方で概算経費を使った場合、多いところで約1,000万円前後の税効果が出たところもありました。

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措置法の概算経費とは

1期間の保険診療収入が5,000万円以下で総収入金額が7,000万円以下の場合、医療機関の実際の経費の金額と下記の算式により算出した概算経費の金額とのいずれか大きい金額を経費の金額として申告することができます(租税特別措置法26条、同法67条)。

各期の社会保険診療収入 必要経費の額
2,500万円以下の場合 保険収入×72%
2,500万円超 3,000万円以下の場合 保険収入×70%+50万円
3,000万円超 4,000万円以下の場合 保険収入×62%+290万円
4,000万円超 5,000万円以下の場合 保険収入×57%+490万円

医療法人成りするような医療機関の場合、通常は年間の保険診療収入が5,000万円を大きく超えることが多いですが、例えば年間の保険診療収入が1億円で毎月一定の収入金額と仮定した場合でその年の7月から医療法人成りして法人の期末を12月としたとき、その年分の個人診療所の保険診療収入が5,000万円、医療法人の1期目の保険診療収入も5,000万円となり、個人診療所と法人でそれぞれ措置法の概算経費を使うことが可能となります。

なお、総収入金額が7,000万円以下である必要があるため、特に自由診療収入が多い小児科や歯科は注意が必要です。

医療法人の事業年度

医療法人の会計年度は、医療法上4月1日から翌年3月31日までとされていますが、定款等に定めることにより別の時期を期末とすることができます(医療法53条)。

ただし、都道府県によっては医療法人の設立認可申請時に3月決算以外の場合は理由書を提出させられる場合があります。

一般社団法人で法人成りした場合

一般社団法人は措置法の概算経費を使うことはできません(租税特別措置法67条)。

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