【医業承継】承継開業で医師、歯科医師が準備すべき資金

はじめに

医療法人の経営者である理事長は他の事業体と同様に将来必ず下記の3つの選択肢から将来の方向性の選択を迫られることになります。

昨今の後継者不足で特に地方の医療機関の休廃業が増加しているなか、いかに①や②による承継を円滑に行い地域医療を存続させるかが重要な課題になっています。また、今後、外来医師過多区域での開業抑制(参照:弊所コラム「改正医療法が成立(開業抑制、美容医療規制、認定医療法人制度延長など)」参照)や医学部定員の適正化(参照:弊所コラム「医師偏在と地方の医師不足の対策としての事業承継」参照)が予想される中、承継を円滑に行うことはさらに重要になってくると予想されます。

そのようななかで今回は、今後開業を考えている医師、歯科医師の立場から、承継開業の際に準備しなければない資金について解説させていただきます。

❶医師、歯科医師の開業

開業を考える医師、歯科医師も下記の3つの選択肢のなかから開業の形態を選択することとなります。

このうち❶の場合では、設備投資(例:内装、医療機器、備品など)や各種初期費用(採用費用、医師会入会金、開業支援報酬など)、運転費用(例えば社保国保の診療報酬の保険者からの入金は開業から2ヶ月遅れになるが、スタッフの給与や光熱費等は開業前から発生する)が必要になってきますが、これらを銀行借入、リース、自己資金等で賄う必要があります。

❷親族内承継において後継者が用意すべき資金

また、❷の親族内承継の場合は先代から事業用資産や運転資金・既存の患者さんやスタッフなどの経営基盤を引き継ぐことになりますが、持分あり医療法人の承継では、出資持分の承継に係る相続税や贈与税等の納税資金を親族である後継者や相続人が用意する必要があります。出資持分はお金ではないとことにお金で納税が必要になるため親族である後継者や相続人が持ち出しになる他、後継者が分院展開するなどして法人の経営改善をするほど将来自分たちが払わないといけない相続税が高くなるという矛盾が生じます。

また、出資持分が分散することによる払戻請求にまつわる出資者間の争いも考えないといけません。実際、病院を運営している持分あり医療法人の出資が分散したことによるトラブルの相談をうけることは多々あります。

これに対して持分なし医療法人を承継するのであれば、(法人に大きな負債がなければ)基本的に後継者が法人承継のために準備すべきお金はほとんどないと言えます。

ただし、法人の持分の有無に関わらず、先代から法人に賃貸している事業用不動産の相続税の納税資金も後継者は準備する必要があります。持分あり医療法人に事業用不動産を現物出資したあとに認定を受けて持分なし医療法人へ移行することにより事業用不動産に係る相続税の納税は回避する方法も考えられますが、現物出資した先代に譲渡所得税や消費税が課税されたり、不動産を取得した法人において不動産取得税や登録免許税が課税されることとなります。

❸第三者承継において後継者が用意すべき資金

次に、上記❸の第三者承継(M&A、勤務先医療法人の承継)で承継開業する場合、自己資金として必要なのは、譲渡対価、DD費用と仲介手数料などが考えられます。このうち譲渡対価については、売り法人から売り手に払い出されない金額を買い手が準備する必要があります(例:純資産のうち現金化できないもの、暖簾代など)。

例:持分なし医療法人を第三者承継する場合

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