M&Aで出資持分を1円で譲渡、売り手に思わぬ課税

「売り手:個人、買い手:法人」で出資持分を1円譲渡するケース

 個人である売り手が、法人である買い手に非常に低い金額(例えば1円)で出資持分を譲渡するケースも多いと思われますが、このようなケースにおいて「売り手」に時価課税される場合がありますので注意が必要です。具体的には、その出資持分の時価(所得税基本通達59‐6で評価した税務上の価額)の2分の1未満の対価で譲渡した場合、売り手は時価で譲渡したものみなされて譲渡所得税が課税されます(所得税法59条)。

 医療法人をM&Aで第三者に引き継ぐ場合、個人である売り手が法人である買い手に出資持分を譲渡するケースも多いと思われます。特に、M&Aの対象となる医療法人の経営状況が非常に良好で対価が高額になるケースでは、個人(例えば承継開業を検討している勤務医)が数億円に上る譲渡対価を準備することが難しく、例えばヘルスケア関連の関係会社等が買い手となるケースも多く見受けられます。

 買い手が法人である場合、医療法人の出資を取得することは出来てもその買い手法人がその医療法人の社員となることは出来ません(平成3年1月17日(指第1号)東京弁護士会会長あて厚生省健康政策局指導課長回答)ので、買い手法人は再び出資持分を譲渡したり対象医療法人が解散しない限り出資持分取得のための対価を回収することができません。したがって買い手法人としては、M&A対象医療法人そのものが保有する資金を退職金等で支払うことにより出資持分の取得対価をできるだけ圧縮する方向となり、実務的に出資持分を1円でやり取りするケースも多くなります。

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