持分あり医療法人の出資持分の相続税対策として、医療法人の出資持分を個人からMS法人に譲渡する「ホールディングス化」をコンサルタント等からご提案され、実行されている医療法人を見かけることがあります。
MS法人の株主を後継者や推定相続人にすることにより、譲渡後の医療法人の出資持分の評価が上昇した場合や元々の出資者に相続が開始した場合に出資持分への相続税を回避することを意図していると考えられますが、納税の面でも医療法の面でもさまざまな問題点があります。
例えば医療法人の出資持分を3億円で個人出資者からMS法人が買い取る場合、MS法人に資金あればよいですが、無い場合は資金調達をする必要があります。
医療法人に資金が潤沢にあることから、医療法人からMS法人へ貸付をして資金調達しているケースや、MS法人が私募債を発行してそれを医療法人が購入しているケースなどをみかけますが、いずれも配当類似行為として医療法54条違反になる可能性があります。
個人出資者からMS法人への譲渡対価(参考:法人税基本通達9‐1‐14、所得税基本通達59‐6)を低く抑える工夫をして譲渡しても、譲渡した個人出資者に買取資金が残りますので、これに対して相続税が課税されます。
買取側のMS法人の株主を後継者や推定相続人としても、その方々に相続が開始したら相続税が課税されることから、二次相続以降の課税対策は必要になります。
認定医療法人となって出資持分を放棄することにより出資持分に対する相続税課税を回避しようとした場合であっても、MS法人によるホールディングス化をしたままの状態では効果がありません(租税特別措置法70条の7の14①では「個人」が持分放棄をした場合のみの非課税規定であり、法人が持分放棄をした場合に税制優遇を受けることができる規定はない。)。
そればかりかこの場合、出資者であるMS法人に多額の寄附金課税か生じます(法人税法37条②⇒同法①)。 例えば、当初出資額1,000万円、時価3億円の出資持分をMS法人が放棄した場合、認定の有無に関係なく、3億円がMS法人の「その他の寄附金」となり、一定の計算をした後の金額が課税所得に加算されることとなります。