【事例紹介】医療法人のM&Aにおける認定医療法人化

はじめに

 私の経験上、認定医療法人制度を活用しての持分なし医療法人へ移行は「親族内承継」で活用されるケースがほとんどです。

 認定医療法人制度を活用した持分なし医療法人への移行の大きなメリットの1つが「換金性の乏しい出資持分に対する多額の相続税の納税(多額の資金の持ち出し)の回避」であるところ、親族内承継と違ってM&Aの場面では相続前に出資持分が現金化されていることから同制度活用の必要性が乏しいためです。

 ただ、M&Aの場面でも認定医療法人制度を活用して持分なし医療法人へ移行した事例がいくつかありますので、今回はその事例と注意点についてご紹介させていただきます。

【事例1】売り手の立場での事例

  1. 売り手の役員退職金に注意
    認定医療法人をM&Aで譲渡する場合、持分なし医療法人であることから出資持分譲渡のスキームを選択することができず、役員退職金の支払いにより譲渡対価を清算することになります。認定による持分なし医療法人への移行後6年間は退職金の額に制限が生じます。つまり、認定の要件の1つとして、「役員報酬や役員手当等が不当に高額とならないような支給基準を定めていること」があるため、特に6年間はこの要件に抵触しないように注意が必要です。
  2. 買い手医療法人と合併する場合
    認定による持分なし医療法人への移行後6年間に合併による被合併法人として消滅した場合、認定が取消となります。

【事例2】買い手の立場での事例

 譲渡対価やM&Aの仲介手数料を工面するため、買い手が一時的に医療法人から貸付を受けているケースがあります。奨学金等福利厚生目的ではない関係者への貸付金は解消しないと認定を受けることができません。

 また、法人内の親族ではない医師に持分あり医療法人を承継するケースでも、後継者が出資持分の譲渡対価を工面するために医療法人から貸付を受けていることがあります。

 医療法54条の配当禁止規定への抵触として都道府県から行政指導の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。

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